みなさんこんにちは!
今回は体のコンディションを整える上で意外と無視されがちな足関節、つまり足首の動作についてです。
突然ですが、あなたの足首は適切に動かせていますか?
本日は中でもよく見られる足関節の背屈(足の先を上にあげる動き)にエラーが起きているケースに着目していきます。
かなり専門的な内容ですので、トレーナーの方やトレーナーを目指されている方も必見です。
それでは見ていきましょう!
足関節の背屈とは?
足関節の背屈とは、「足首を曲げてつま先を上方に振る」または「足 背が下腿の前面に向かう」動作で起こる足関節の動きです。
具体例として、かかとを床につけたまま、つま先から足の裏を床から離していき上げていく動きをイメージしてもらうと、分かりやすいかと思います。
足関節は、角度を変えながら起伏のある地面の状態に合わせて、安定性を確保するという支持調整機能を持っている関節です。
その足関節の動作のなかでも背屈は、足関節底屈(足首を伸ばしてつま先を下方に振る動き/背屈とは逆)のように体重を支える必要がないために、強い力は出せなかったり、動作の可動域も約25度(足関節屈曲は約50度)と狭いものの、歩行時や走行時に「つまずかないようにつま先を上げる」など、絶えず頻繁に使われる動きです。
例えば、歩行時や走行時に、つま先を上げて踵から着地する動作などが代表例として挙げられます。
ちなみに、この足関節の背屈動作。実は、膝関節の角度によって、可動域が変化していくことになります。
その可動域の変化とは、
(前脚は屈曲位で後脚は伸展位)
* 膝関節が曲がる(屈曲位) →足関節背屈の可動域は大きくなる
* 膝関節が伸びる(伸展位)→足関節背屈の可動域は小さくなる
ふくらはぎには、足関節と膝関節の二つをまたぐ二関節筋である腓腹筋が存在しており、膝関節が伸びると腓腹筋も一緒に伸びることになります。
その状態で、足関節を背屈させようとしても、腓腹筋が緊張していることで、腓腹筋の作用とは逆(腓腹筋は足関節屈曲の主力筋でもある)の動きである背屈に、制限が出てきてしまう。
この足関節の特徴を、ちょっとした豆知識として覚えておくと、何かと役に立つこともあるかと思います。
足関節の背屈に貢献する筋肉
足関節背屈がどのような動作の中で起こり、働きを持っているのかの概要を確認したところで、次に足関節背屈に関与する筋肉について見ていきましょう。
まず、足関節背屈に貢献する筋肉を考えていった場合、その貢献度順は次の通りです。
1. 前脛骨筋
2. 長趾伸筋
3. 長母趾伸筋
前脛骨筋
下腿(ひざから足首までの部分)の太い方の骨である脛骨(細い方は腓骨)の、外側前面を縦に走行している筋肉で、簡単に言えば、すねの前面表層に位置している筋肉です。
つま先を持ち上げる足関節背屈においては、一番強力な働きをする主力筋で、ボールを操るために足関節背屈の動きも頻繁に行うサッカー選手の中では、このすねの前面部分が肥大しているのを確認出来ることがあります。
長趾伸筋
下腿前面外側のやや深層に位置する筋肉で、上部が 前脛骨筋に覆われているのが特徴です。
また、足指につながる腱が4本に分かれていて、親指以外のそれぞれに繋がっているため、足関節の背屈以外にも、足の人差し指から小指までを伸展(反らす)する働きも持っている筋肉です。
この長趾伸筋下部の一部が枝分かれしたものが、下の画像のよな腓骨の下方を走行する第三腓骨筋として、分類されることになります。
長母趾伸筋
下腿前面のやや深層にあり、大部分が前脛骨筋と長趾伸筋に覆われている筋肉です。
また、足指にまで伸びる腱は親指にだけつながるため、長趾伸筋とは逆に、足関節側屈以外に親指だけを伸展(反らす)する働きを持っている筋肉です。
足関節側屈に関与する主な3つの筋肉の中では筋体積が30㎤と最も小さい(前脛骨筋は130㎤で長趾伸筋は65㎤)とされています 。
足関節背屈の可動域が狭いことによる弊害
足関節背屈の基礎的なことについては、大まかに理解出来たかと思いますが、一つここで知っておきたいのが、足関節の背屈の可動域に制限があると、できる動きや運動が制限されてしまうことです。
足関節背屈に制限があると、スクワットやステップダウン(高い段差から低い場所へ足を下ろして着地する動作)、ランニングやジャンプ時に着地するような行為に影響が出てしまう可能性があります。
例えば、スクワットの場合、腰を下ろす際に、足関節を十分に背屈出来ないことで、しっかりと腰を下ろせなかったり、腰を下ろした際も体をしっかりと安定させることが難しくなってしまいます。
そのため、特に高負荷のバーベルなどを担いで行うバーベルスクワットのような種目や、片足だけで腰を下ろしていくピストルスクワットのよう種目では、大きな力を出せなかったり、関節に大きな負荷がかかったり、バランスを崩してしまうことで怪我につながりやすいです。
このようなことからも、足関節背屈に関しては、出来る限りその可動域を広げるようなエクササイズを行っていくということが、他のトレーニングや運動を考えた場合にも大切になってくると言えます。
足関節背屈の可動域を改善する方法
足関節背屈の可動域が狭くなると引き起こされるかもしれない問題を回避するためにも、足関節背屈の可動域を改善する方法について確認しておきましょう。
ここまで解剖学的に足関節の背屈における課題を見てきましたが、改善する方法はいたってシンプルです。
足関節背屈に影響を与える下腿三頭筋の筋膜リリース
下腿三頭筋の筋膜リリース
下腿三頭筋はふくらはぎを構成している筋肉であり、そこにはヒラメ筋と腓腹筋という二つの筋肉が存在していることになりますが、この下腿三頭筋は、足関節の背屈とは逆の底屈(屈曲)の主力筋として働く筋肉です。
そのため、下腿三頭筋が緊張してしまったり硬くなってしまっている状態だと、底屈とは逆の背屈の動作を行っていこうとした場合に、足関節の可動域に影響が出てきてしまう。
そこで、そのふくらはぎの筋肉をほぐすためにも取り組んでいきたいのが、筋膜リリースという方法。
筋膜とは筋肉を覆っている膜であり、筋肉の活動が少ない状態が続くと硬くなりやすいとされ、この筋膜が硬くなると覆われている筋肉にもコリが発生するとされています。
自分ではできないと考えている方もいらっしゃるかと思いますが、大抵のケースでは自分の手でほぐしたり市販のフォームローラーなどでしっかり5分ほどほぐすことで代用可能です。
もちろんプロのパーソナルトレーナーの方に行ってもらうなどが最適かとは思います。
ただ重要なのはほぐして終わらずに、直後に背屈運動を行い適度の負荷を掛けることです。
スクワットのような動作でも良いですし、徒手抵抗などを掛けて前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋を活躍させつつ関節可動域を改善していきましょう!
まとめ
みなさんいかがでしたか、まずは足首が硬いのかどうかを見極めることが大切です。本日は背屈動作にフォーカスしましたが、回旋運動や底屈運動にも様々なエラーが多いのがこの足関節です。
足首に悩みのある方や知識に自信のないトレーナーの方も多いかと思いますのでこれを機会にASPIパーソナルジムで正しく身体を動かしトレーニングしてみましょう。
それでは今回はここまで。また次回お会いしましょう。