重いものを持ち上げたときや、起床後に立ち上がろうとした瞬間など、突然腰に激しい痛みが走る場合があります。こうした急な腰痛は、いわゆる「ぎっくり腰」の可能性が高く、日常生活の中で蓄積された身体への負担が関係しているケースが少なくありません。
また、似たような症状であっても別の病気が原因の場合もあるため、心配事がある場合はまずは病院で診察することが大切です。
この記事では、ぎっくり腰のおもな原因や正しい対処法、再発を防ぐための生活習慣などを解説します。
ぎっくり腰とは?
ぎっくり腰とは、医学的には「急性腰痛症」と呼ばれる、突然腰に激しい痛みが走る状態を指します。正式な病名ではなく、日常的な通称です。
英語圏では「魔女の一撃(witch’s shot)」とも表現されるほど、なんの前触れもなく強烈な痛みに襲われます。たとえば、重いものを持ち上げたときやくしゃみをしたとき、あるいは朝の起床時やお辞儀など、何気ない動作が引き金となることも少なくありません。
発症のタイミングは予測しづらく、誰にでも起こり得るといえます。
ぎっくり腰のおもな症状
ぎっくり腰は、ある瞬間に腰に鋭い痛みが走り、動けなくなるのが典型的な症状です。痛みは腰部に集中し、立ち上がる・歩く・寝返りを打つなどの動作が困難になります。
初期には、「腰が抜けたような感覚」や「針で刺されるような痛み」と訴える方もいます。
そのため、発症直後は無理に動かさず、患部を冷やして安静に過ごすことが大切です。多くの場合、痛みは数日で和らぎ始め、2週間程度で自然に回復に向かいます。
ぎっくり腰のおもな原因
ぎっくり腰のおもな原因は、以下のとおりです。
- 筋肉の慢性疲労の蓄積
- 骨格や骨盤の歪み
- 急な動作や過負荷
- 加齢・筋力低下・柔軟性の欠如
- ストレスや生活習慣の乱れ
それぞれ、順番に解説します。
筋肉の慢性疲労の蓄積
日々の睡眠不足や栄養の偏り、運動不足といった生活習慣の乱れは、筋肉の回復を妨げ、疲労を蓄積させます。
疲労が蓄積した状態が続くと筋肉は耐久性と柔軟性を失い、自覚症状がないままダメージが重なると、ある日ちょっとした動作が引き金となってぎっくり腰として表面化するケースがあります。
疲労が限界に達した筋肉は、わずかな衝撃にも耐えられずに損傷しやすくなります。
骨格や骨盤の歪み
デスクワークや立ち仕事などで長時間同じ姿勢でいると、筋肉の使い方に偏りが生じ、骨盤や骨格が少しずつズレていきます。ズレによる歪みが定着すると、特定の筋肉に過剰な負担が集中しやすくなり、ぎっくり腰のリスクが高まるため注意が必要です。
とくに、猫背や足を組む癖などは歪みを引き起こす原因になります。更に、運動不足や柔軟性の低下は歪みを元に戻しにくくし、不安定な身体の状態を慢性化させる可能性があります。
急な動作や過負荷
ぎっくり腰は、日常の何気ない動作が引き金となって突然発症することがあります。
たとえば、中腰で重いものを持ち上げた瞬間や、不意に腰をひねったとき、勢い良く振り向いたときなどに起こりやすいです。
更に、ジャンプや着地の際に腰へ強い衝撃が加わることでも発症するケースがあります。
急な動作や過負荷によって発生するぎっくり腰は、若い世代やスポーツをしている方にも多い傾向があり、身体の瞬間的な負荷に腰が耐えきれず、急性の痛みとして現れるのが特徴です。
加齢・筋力低下・柔軟性の欠如
加齢と共に背骨や関節、椎間板といった構造が徐々にもろくなり、筋肉の量も減少することで腰を支える力が弱まります。
また、筋肉や靭帯の柔軟性も低下し、身体がとっさの動きに対応しにくくなるため、思わぬ拍子に腰を痛めやすくなります。
とくに、腹筋や背筋といった体幹の筋力が落ちると腰椎の安定性が損なわれ、ぎっくり腰のリスクが高まるため高齢者の方は注意しましょう。
ストレスや生活習慣の乱れ
精神的なストレスが続くと自律神経のバランスが崩れ、筋肉が緊張しやすくなります。
腰周りは影響を受けやすく、ストレスによって常に力が入った状態が続くことで負担が増大しやすいです。
更に、睡眠不足や栄養の偏り、身体の冷えといった生活習慣の乱れは、身体機能全体を低下させ、ぎっくり腰のリスクを高める要因となります。
つまり、不規則な生活は疲労の回復を妨げ、筋肉の緊張が慢性化することで、ある日突然ぎっくり腰として表面化する可能性を高めます。そのため、ストレスの緩和や生活習慣を見直しましょう。
ぎっくり腰を起こしやすい方の特徴
ぎっくり腰は誰にでも起こりうる症状ですが、なかでも以下のような特徴を持つ方は、とくにリスクが高いとされています。
- デスクワークや運転する機会が多い方
- 運動不足・姿勢が悪い方
- 太っている方
- 冷え性の方
- 過去にぎっくり腰をしたことがある方
デスクワークや長時間の運転をする方は、同じ姿勢が続くことで腰周りの筋肉が硬くなり、血流も滞りやすくなります。
また、運動不足や悪い姿勢が習慣になっている方は、筋力や柔軟性が低下しており、わずかな動作でも腰に過剰な負担がかかりがちです。
更に、体重が多い方は日常的に腰椎への圧力が強く、ぎっくり腰を発症しやすい傾向があります。冷え性の方も、血行不良によって筋肉がこわばりやすく、腰の動きに対して柔軟に対応できない状態に陥りやすいです。
ほかにも、過去にぎっくり腰を繰り返した経験がある方は、再発のリスクが高く、根本的な原因を改善しない限り再度発症する可能性があります。
上記の特徴に当てはまる方は、ぎっくり腰になりやすいため、対処法をあらかじめ知っておき、ぎっくり腰を防ぐ生活習慣を実践しましょう。
ぎっくり腰だと思ったら実は別の病気かも?
腰に突然激しい痛みが走ると、「ぎっくり腰かもしれない」と思いがちですが、実際には別の疾患が原因の可能性があります。断定せずに、早めに医療機関を受診することが望ましいです。
自己判断せず、早めに整形外科などの医療機関を受診しましょう。
ぎっくり腰になったときの対処法
ぎっくり腰を発症した際は、まず焦らずに身体を休めることが大切です。
ただし、痛みのピークを迎える「発症直後」と、炎症が落ち着いてくる「2〜3日後」では、適切な対処法が異なります。
それぞれ、解説します。
発症直後の正しい対応
ぎっくり腰を発症した直後は、無理に動かさないことが大切と言われています。安静にして様子を見るようにしましょう。
心配であれば、すぐに医療機関を受診し、指示に従うようにしてください。
発症2〜3日後は軽く動くことが回復の鍵
かつては、ぎっくり腰を発症したあとはできるだけ安静にするのが常識とされていました。
しかし、近年では「動かせる範囲で少しずつ身体を動かす」ことが、回復を早める重要なポイントとされています。
筋肉の萎縮や関節の拘縮(こうしゅく)を防ぐために、痛みが落ち着いてくる2〜3日後からは軽い歩行やストレッチを取り入れることが望ましいです。
なお、ぎっくり腰の程度によっては難しい場合もあるため、腰への負担を最小限におさえながら、無理のない範囲で可動域を広げましょう。
たとえば、急な動きや重いものの持ち上げは避け、痛みの程度に応じて少しずつ日常動作を再開して行くことが大切です。
医療機関の受診目安
一般的なぎっくり腰は、数日~10日程度で自然に回復することが多いですが、症状がなかなか改善しない場合や、痛みが悪化する場合には注意が必要です。
とくに、椎間板ヘルニアや圧迫骨折などの他の疾患が隠れている可能性もあるため、早めに医療機関を受診することが望まれます。
診察では、問診や身体所見に加えて、必要に応じてレントゲンやMRI検査がおこなわれ、他の病気の有無を確認することで早期治療につながる可能性が高いです。
また、痛みを和らげるための鎮痛薬や筋弛緩薬が処方されることもあり、回復の段階に応じてリハビリの指導を受けることができます。
高齢者や再発を繰り返している方は、自己判断に頼らず、早期に整形外科など専門医の診察を受けると安心です。
ぎっくり腰の再発を防ぐ生活習慣
ぎっくり腰の再発や発生を防ぐ生活習慣は、おもに以下のとおりです。
- 姿勢改善とストレッチ習慣を身につける
- 筋力トレーニングと運動習慣の導入
- 体重管理と冷え対策
- ストレスマネジメントと睡眠の質の向上
それぞれ、順番に解説します。
姿勢改善とストレッチ習慣を身につける
猫背や反り腰といった不良姿勢は、骨盤や背骨の歪みを引き起こし、腰に大きな負担をかける原因となります。
そのため、日常生活の中で骨盤を立て、背筋を自然に伸ばす正しい姿勢を意識し、腰の負担を軽減しましょう。
また、長時間同じ姿勢を続けることは避け、最低でも1時間に一度は姿勢をリセットすることが望ましいです。
更に、腰や股関節、太もも裏(ハムストリングス)の柔軟性を保つストレッチもぎっくり腰を防ぎやすいとされています。
寝起きや就寝前などに軽く身体を伸ばす習慣をつけることで、筋肉の緊張をほぐし、日中の動作による腰への負担を軽減できるため試してみましょう。正しい姿勢やストレッチ、トレーニングについて不安がある方は、プロに相談することも手段の一つです。
筋力トレーニングと運動習慣の導入
ぎっくり腰の予防には、腹筋や背筋、骨盤周りのインナーマッスルといった体幹を鍛えることが効果的です。
インナーマッスルがしっかり働くことで、腰への負担が分散され、日常の動作でも安定した姿勢を保ちやすくなります。
運動経験が少ない方は、まずウォーキングやスロースクワットなど、身体に優しい負荷の運動から始めてみましょう。
なお、急激に激しい運動をおこなうと、筋肉や関節に過度なストレスがかかり、ぎっくり腰の再発や発生を招くおそれがあります。
そのため、無理なくできる範囲からスタートし、少しずつ強度や回数を増やして行くことが重要です。1日5〜10分でも、継続することで筋力の維持や柔軟性の向上を目指しましょう。
体重管理と冷え対策
体重が増えると腰椎にかかる負担が大きくなり、ぎっくり腰のリスクが高まります。
とくにお腹周りに脂肪がつくと、姿勢のバランスも崩れやすくなり、腰への圧力が集中しやすいです。食事の内容を見直し、無理のない範囲で運動を取り入れて、適正体重を維持することが腰の健康には欠かせません。
また、冷えは筋肉の緊張を高め、柔軟性を失わせる一因となります。冬場や冷房の効いた室内では、腹巻きやカイロ、温熱パッドなどで腰周りを温めると効果的です。
更に、入浴によって全身の血行を促進し、筋肉のこわばりを緩める習慣も腰を守るためには重要です。
ぎっくり腰の再発や発生を防ぐためにも、体重管理と冷え対策は重要なポイントです。
ストレスマネジメントと睡眠の質の向上
慢性的なストレスは交感神経を優位にし、筋肉が常に緊張した状態となるため、腰への負担を増やす可能性があります。
とくに、ストレスを感じやすい方は、知らず知らずのうちに腰回りに力が入り、ぎっくり腰の引き金になりやすいです。
そのため、次のような方法で日常の中にリラックスできる時間を意識的に作りましょう。
- 趣味の時間を確保する
- 深呼吸やストレッチを取り入れる
- 瞑想やマインドフルネスをおこなう
また、ストレスが蓄積すると睡眠の質も低下し、筋肉疲労の回復が妨げられます。マットレスや枕などの寝具を見直し、身体をしっかり支える環境を整え、6~8時間の質の良い睡眠を確保しましょう。
なお、マットレスを選ぶ際は、寝返りを自然に打てるスペースを保ち、腰に一点集中で負担がかからないようにする商品が望ましいです。
まとめ
ぎっくり腰は突然起こる激しい腰痛ですが、日常生活の中で少しずつ積み重なった負担や身体の使い方の癖が原因である可能性があります。
無理な姿勢や筋力の低下、ストレスや冷えといった要因が重なることで、ある日突然痛みとして現れます。
だからこそ、ぎっくり腰を防ぐには、普段の生活習慣を見直しましょう。とくに、適度な運動は、姿勢の改善や体幹の強化、体重管理、血行促進など多くの面で予防効果が期待できます。
再発を防ぐためにも、ご自身の身体と向き合いながら、継続的にケアをして行く習慣を身につけると良いでしょう。
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