「筋トレしたいけど時間がない」「効率的に筋肉を鍛えたい」そんな悩みの解決サポートするのがEMSです。テレビCMでも見かける機会が増えましたが、「EMSは効果がない」という口コミも見られるため、本当に効果があるのか知りたい方も多いのではないでしょうか。
この記事では、EMSは効果がないといわれる理由やEMSに期待できる効果、安全に使うためのポイントなどを詳しく解説します。
EMSとは?
EMSとは「Electric Muscle Stimulation(電気的筋肉刺激)」の略称で、専用パッドを身体に貼り付け、微弱な電流を流して筋肉を強制的に収縮させる機器のことです。
通常、人間が運動する際は脳からの指令が神経を通じて筋肉に伝わり収縮します。EMSは神経回路を介さず直接筋肉に電気刺激を与えることで、自発的な動きがなくても筋肉を動かせます。
もともとはリハビリテーション用として医療分野で開発されたEMSですが、現在ではスポーツ選手のトレーニング補助や一般の方向けのフィットネス機器としても広く普及しています。
医療用EMSとの違いは?
医療用EMSと家庭用(一般向け)EMSの最大の違いは、周波数と出力の強さです。医療用EMSは高周波の電気を使用し、より深部の筋肉にアプローチできるのが特徴です。
一般的に医療用EMSは周波数が高く、皮下15cmほどの深さまで通電可能で、インナーマッスル(深層筋)にも効果的に刺激を与えられます。
また、医療用EMSは各パッドが分離しており、鍛えたい部位にピンポイントで装着可能です。一方、家庭用EMSはパッドの位置が固定されていることが多く、周波数も低めに設定されているため、おもに表層の筋肉にしか効果を発揮しません。
医療用EMSは医師や専門家の指導のもとで使用されるため、より効果的かつ安全に筋力強化やリハビリテーションに活用できます。家庭用EMSは安全性を考慮して出力がおさえられており、使いやすい設計です。
低周波治療器や他の電気刺激法との違いは?
EMSと低周波治療器は両方とも電気を使用する点で共通していますが、根本的な目的と作用が異なります。低周波治療器は「痛みの緩和」や「血行促進」がおもな目的で、神経に働きかけて痛みをブロックしたり、筋肉の緊張をほぐしたりします。
一方、EMSは「筋力トレーニング」を目的とし、筋肉を強制的に収縮させることで筋力向上や筋肥大をサポートします。
また、波形の特性も異なります。低周波治療器は比較的穏やかな刺激で筋肉をリラックスさせる傾向があるのに対し、EMSは筋トレのように筋肉を積極的に働かせる強い収縮を引き起こすのが特徴です。
EMSは低周波治療器よりも出力が強く、より深部の筋肉にアプローチできます。
EMSで期待できる3つの効果
MSで期待できる3つの効果は以下のとおりです。
- 筋肥大のサポート
- 筋力向上のサポート
- 姿勢改善のサポート
それぞれ詳しく解説します。
筋肥大のサポート
EMSは筋肉に電気刺激を与えて筋線維に微細な傷をつけ、その修復過程で筋肥大をサポートします。速筋(白筋)は電気抵抗が小さいため優先的に刺激され、通常の運動では十分に動員されにくい筋繊維まで活性化されます。
速筋は瞬発力やパワーに優れており、筋肥大しやすい性質を持っているため、見た目の変化も感じやすいでしょう。
筋力向上のサポート
EMSは神経と筋肉を直接刺激することで筋力向上をサポートします。とくに大腿四頭筋などの大きな筋群に対しては効果的で、定期的に使用することで筋力向上が期待できます。
専用パッドを気になる部位に貼るだけなので、通常のトレーニングでは鍛えにくい部位にも効果を発揮できるでしょう。
姿勢改善のサポート
インナーマッスルにアプローチできるEMSであれば、姿勢改善も期待できます。インナーマッスルは関節や脊椎を安定させる重要な役割を担っていますが、通常のトレーニングでは意識的に鍛えることが難しい筋肉群です。
EMSでインナーマッスルを強化することで、脊柱の自然なカーブを保つ力が高まり、猫背や骨盤の歪みといった姿勢問題の改善が期待できます。
EMSは効果がないといわれる理由
EMSが「効果がない」といわれる理由は、広告による期待と実際の効果のギャップが関係しています。
2020年には消費者庁が「貼るだけで痩せられる」と誤解させる表現で家庭用EMS機器を販売していた4社に措置命令を出しました※。EMSによるトレーニングで間接的に脂肪燃焼をサポートできますが、脂肪を直接減らす効果はありません。
また、効果の実感までに個人差があることや、皮下脂肪が多いと電気刺激が筋肉まで十分に伝わらず効果が出にくいことも、「EMSは効果がない」という評価につながっています。
EMSは万能な機器ではありません。効果に対する根拠のある機器を使用することと、正しく継続して使用することで、初めて効果を発揮します。
※出典:消費者庁「EMS機器の販売事業者4社に対する景品表示法に基づく措置命令について」
EMSトレーニングに向いている方の特徴
EMSトレーニングは「運動が苦手な方」や「忙しくて運動時間が確保できない方」におすすめです。また、膝・腰などに痛みがある方や高齢者など、通常のトレーニングが難しい方にも負担が少なく適しています。
筋トレ経験者にとっても、通常のトレーニングでは意識的に鍛えにくいインナーマッスルへのアプローチに期待できる商品がある点は魅力です。特定の部位をピンポイントで鍛えたい方や、スポーツパフォーマンス向上を目指す方にもEMSはおすすめです。
なお、肥満度が低いほうが電気刺激を効率よく筋肉に伝えられるため、より効果を実感しやすいでしょう。
EMSを安全に使うためのポイント
EMSは安全性の高いトレーニング方法ですが、電気刺激を扱うため正しい知識と注意点を理解することが重要です。以下では、EMSを安全に使うためのポイントを解説します。
出力レベルは低めに設定する
EMSの出力レベルは、徐々に上げていくことが安全使用の基本です。初めて使用する場合は必ず最低レベルから開始し、筋肉の収縮が軽く感じられる程度の強さに調整しましょう。
出力が強過ぎると筋肉に過度な負担がかかり、筋線維が損傷して肉離れのような症状を引き起こす可能性があります。また、筋肉に電気刺激が加わることで感覚神経まで刺激されてしまうので、痛みを感じるほどの強い刺激は逆効果になりかねません。
運動不足の方や初心者の方は控えめな設定から始め、慣れてきたら少しずつ強度を上げることで、安全かつ効果的なトレーニングが可能になります。
使用時間を守って実施する
長時間のEMS使用は、筋肉の過度な疲労や炎症を引き起こすおそれがあります。EMSによる筋トレも通常のトレーニングと同様に、筋肉に微細な損傷を与えるため、筋肥大には十分な休息が不可欠です。
EMS製品ごとに使用時間の目安は異なるため、説明書に記載された推奨時間は必ず守りましょう。
パッドは清潔に管理して定期交換する
EMS使用前は皮膚の汚れや油分を十分に拭き取り、パッドが肌に完全に密着するようにしましょう。汗や皮脂がパッドの粘着力低下のおもな原因となるため、使用前の肌清掃や入浴後の使用が効果的です。
パッドの粘着力が低下すると部分的に密着していない箇所に電流が集中し、皮膚のやけどや水ぶくれなどのトラブルを引き起こす可能性があります。パッドの使用後は専用カバーで保護し、粘着力が明らかに低下したら新しいものに交換しましょう。
EMS機器選びのコツ
EMS機器は種類が豊富なため、ご自身の目的に合ったものを選ぶ必要があります。以下では、EMS機器選びのコツを解説します。
出力調整幅が広いモデルを選ぶ
EMSトレーニングの効果を最大限に引き出すには、出力の調整幅が広いモデルを選ぶことが重要です。筋肉量や脂肪の厚み、皮膚の電気抵抗には個人差があり、同じ出力でも感じ方が大きく異なります。
初心者は低出力からスタートし、慣れてきた段階で徐々に強度を上げていくのが基本ですが、調整幅が狭い機器では、ご自身に合った強度を見つけにくくなります。
体調や目的に応じて細かく出力を調整できるモデルを選ぶことで、無理なく快適にトレーニングを継続でき、より高い効果が期待できます。
パッドを手軽に交換できるものを選ぶ
EMSのパッドは使用を繰り返すうちに粘着力が低下します。皮膚との密着度が悪くなると電気刺激の効率が下がるため、定期的なパッド交換が必要です。継続的に使用するためには、交換用パッドが入手しやすく、価格が手頃なモデルを選ぶのがおすすめです。
また、パッドの形状や取り付け方法が複雑だと交換作業が手間になり、使用そのものが負担になる可能性があります。使用頻度や目的を踏まえたうえで、交換サイクルや維持費も含めた総合的な視点で機器を選びましょう。
まとめ
EMSは電気刺激によって筋肉を収縮させ、筋力トレーニングをすることでさまざまな健康効果が期待できる機器です。一方で、「貼るだけで痩せる」といった誤解が広まったことから、効果に対する懐疑的な意見が見られるのも事実です。
しかし、正しく使えば、筋肥大・筋力向上のサポートなど、幅広い効果が期待できます。
安全かつ効果的に使用するには、低めの出力から徐々に上げていくこと、推奨された使用時間を守ること、そしてパッドを清潔に保ち定期的に交換することが重要です。ただし、EMSの使用だけで大きな変化を出すことは難しく、あくまでサポートの役割であることを理解しましょう。
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この記事の監修者 Supervisor
(株)ORIGINESS代表取締役 川谷 響

順天堂大学スポーツ健康科学部卒業、筑波大学院博士前期課程体育学専攻修了、マンマビレッジ代表パーソナルトレーナー。
茨城県つくば市にて業界初のパーソナルトレーニングと料理教室を併設した複合型フィットネスジムを開業。これまで運動初心者から東京オリンピック出場のトップアスリートまで述べ5000人以上をサポート。
全国的フィットネス雑誌【Tarzan】の記事やソフトバンク(株)のアプリ開発など、大手企業からの監修依頼を多数受ける。
https://originess.co.jp/