1900年代にドイツで生まれたピラティスは、現在では日本を含む世界中で親しまれるエクササイズです。
ピラティスでは呼吸法を重視しており、体幹強化や姿勢改善、柔軟性など、さまざまな効果が得られるため、身体の不調を改善したい方やボディメイクをしたい方に適しています。
興味がある方は、より具体的な効果や注意点などを理解してから、ピラティスを始めましょう。
この記事では、ピラティスで得られる効果やおすすめの方、注意点などを解説します。
ピラティスの概要と種類
ピラティスは、呼吸法を重視しながらインナーマッスルを鍛えるエクササイズで、リハビリを起源に持つ独自のメソッドです。
開発者であるドイツ人のジョセフ・ハベルタス・ピラティス氏は、病弱なご自身の健康回復をきっかけに、さまざまなトレーニングや東洋の体操法を研究し、第一次世界大戦中に負傷兵のリハビリを目的としてピラティスを体系化しました。
当時は「コントロロジー」と呼ばれ、心と身体をみずからの意識でコントロールする健康法とされていました。
現在のピラティスは、マットピラティスとマシンピラティスに分けられます。いずれも呼吸法を重視してインナーマッスルを鍛える点は同じですが、次の表のように器具の有無や強度などが異なります。
項目 | マットピラティス | ピラティスマシン |
---|---|---|
器具の有無 | 不要(マットは必要) | 必要 |
サポート | なし | 器具によるサポートを受けられる |
強度 | 自重を利用する | バネの強さを利用して調整する |
ピラティスで得られる6つの効果
ピラティスで得られる効果は以下のとおりです。
- 体幹を鍛えられる
- 姿勢を改善できる
- 柔軟性の向上と筋トレを同時におこなえる
- 深い呼吸ができるようになる
- 肩こりや腰痛に良い影響を与える可能性がある
- ダイエットやボディメイクが期待できる
それぞれ、順番に解説します。
体幹を鍛えられる
ピラティスの代表的な効果は、体幹の強化です。体幹とは頭や手足を除いた胴体部分を意味しますが、とくに腹部や背中、骨盤周辺のインナーマッスル(深層筋)を中心とした筋肉群を指します。
ピラティスでは、インナーマッスルを効率的に刺激し、鍛えることが可能です。
体幹が鍛えられると動作のバランスが良くなり、持久力が向上する期待ができます。更に、スポーツのパフォーマンス向上や怪我の予防にも役立つため、運動初心者やアスリート、高齢者など幅広い層におすすめです。
姿勢を改善できる
姿勢は第一印象を大きく左右する要素です。猫背や反り腰など姿勢の乱れは、見た目の悪さだけでなく、血流の悪化や自律神経の圧迫といった身体面での不調にもつながる可能性があります。
ピラティスは背骨を伸張しながらトレーニングをおこない、インナーマッスルを鍛えて身体の軸を安定させるため、自然と美しい姿勢が身につきやすいです。海外の研究でも、ピラティスによる姿勢改善が報告されています。
ピラティスによって筋肉の柔軟性や関節の可動域が広がれば、よりスムーズに正しい姿勢を保つことが可能になります。
柔軟性の向上と筋トレを同時におこなえる
身体が硬いとは、筋肉が収縮して伸張できない状態です。生まれつきの骨の構造上の問題や日常的な生活習慣、運動方法、身体の使い方により、筋肉が過緊張となります。
ピラティスでは筋肉を伸張しながら使うため、いわゆるストレッチよりも効果的に筋肉を強化することが可能です。
深い呼吸ができるようになる
エクササイズの最中に呼吸法を重視するピラティスでは、おもに胸式呼吸を用います。腹式呼吸が横隔膜を下に押し下げるのに対し、胸式呼吸は肋骨を広げて酸素を取り込む呼吸法です。
項目 | 胸式呼吸 | 腹式呼吸 |
---|---|---|
呼吸の仕方 | 肋骨を広げて肺に空気を取り込む | 腹部を膨らませて呼吸を繰り返す |
メリット | 呼吸により肋骨を広げることで、心肺機能を向上させることが可能。胸郭の立体的運動により深層安定筋の理想的な長さと張力の関係が促進できるため、腰部骨盤帯の深層安定筋を活性化し、身体をコントロールしながら使える。 | 副交感神経を刺激してストレスを軽減し、集中力を高めるのに役立つ |
おすすめのシーン | ピラティス、エクササイズなど | ヨガ、瞑想など |
日常的に呼吸が浅いと、脳や筋肉に酸素が十分行きわたらず、疲れやすさや集中力の低下につながる可能性があります。
ピラティスで胸式呼吸を意識すると、肋骨周辺の筋肉が柔軟になり、日常生活でも大きな呼吸が可能です。酸素を取り込む量が増えれば、疲労回復やパフォーマンス向上に役立つでしょう。
肩こりや腰痛に良い影響を与える可能性がある
肩こりや腰痛は、長時間の同じ姿勢や運動不足によって筋肉が緊張し、血行が悪くなることで生じます。筋肉がこわばった状態だと、動かすたびに張りや痛みを感じやすいです。
ピラティスで体幹を鍛えながら深い呼吸を取り入れると、酸素の取り込み量が増えて全身の血流が促進されます。また、正しい姿勢を保つための筋肉が強化されると、慢性的な肩こりや腰痛に良い影響を与える可能性があります。
ダイエットやボディメイクが期待できる
ピラティスでは、体重を減らす「ダイエット」や、理想的かつ健康的な体型を作る「ボディメイク」の効果を得られる可能性があります。
ピラティスでダイエット効果が期待できるのは、インナーマッスルを鍛えることで筋肉量が増え、安静時でもエネルギー消費が高まり、結果的に脂肪燃焼が促される期待ができるためです。
また、ピラティスではお腹や背中、骨盤周りなど、特定部位に集中してアプローチできるため、気になる部位を整えてボディメイクしたい場合にも向いています。
ただし、ピラティスは脂肪の燃焼を目的とした直接的なダイエット効果というより、複合的なダイエット効果である点には留意する必要があります。筋肉量を増やして代謝を良くしたり、特定部位を集中的に鍛えたりしたい方に向いています。
ピラティスはどの程度で効果が感じられる?
ピラティスは、1回やっただけで劇的な変化を感じる即効性のある運動ではありません。
継続的に続けたほうが効果を生むとされ、一般的にはプライベートレッスンを10回以上続けることで、徐々に身体の変化を感じ始めると考えられています。たとえば、週1回のペースで続けた場合、効果を実感するまでに約3ヵ月かかる計算です。
なお、通う頻度が高いほうが効果は出やすいですが、頻繁に通うことが難しい場合は、まずは週1回からスタートし、無理のない範囲で継続してみてください。
週1回の頻度も難しい場合は、月2~3回のペースでピラティスの指導を受け、日常生活でも姿勢を意識したり、自主トレーニングしたりしながら継続を目指しましょう。
ピラティスがおすすめの方の特徴
ピラティスがおすすめの方の特徴は以下のとおりです。
- 体幹を鍛えたい方
- 姿勢が悪い方
- 運動が苦手な方
- デスクワーク中心で生活している方
- 呼吸が浅い方
- ダイエットやボディメイクをしたい方
ピラティスはインナーマッスルを鍛えるトレーニングのため、猫背や反り腰など、姿勢の乱れを整えるのに効果的です。体幹を鍛えたい方や、美しい姿勢を目指したい方に向いています。
また、ゆったりとした動きで負担が少なく、初心者でも取り組みやすいので、運動が苦手な方や普段からデスクワーク中心で体力に不安がある方でも続けやすいです。
更に、呼吸法を意識して深い呼吸が身につくことで、リラックス効果や疲労回復につながる可能性があるため、呼吸の改善を図りたい場合に役立ちます。
そのほか、筋肉を引き締めながら代謝を上げるので、ダイエットやボディメイクをしたい方にもおすすめです。
なお、ピラティスのうち、マシンピラティスに特化したおすすめの方の特徴は、以下の記事で解説しています。
▶関連記事:ピラティスマシンとは?マットのピラティスとの違いや特長、メリットなど解説
ピラティスに取り組む際の注意点
ピラティスに取り組む際の注意点は以下のとおりです。
- 呼吸を止めないよう心がける
- ご自身のペースを守る
- 正しいフォームを身につける
それぞれ、順番に解説します。
呼吸を止めないよう心がける
ピラティスにおいて呼吸法は基本であり、トレーニングの効果を得るための重要な要素です。動作に集中するあまり呼吸を止めると、筋肉が不自然に緊張し、ピラティス本来の効果が十分に得られなくなる可能性があります。
とはいえ、ピラティスでは動きと連動させて胸式呼吸を続けることが求められるため、初心者の方にとっては難しく感じるかもしれません。まずは呼吸を止めないことから意識し、エクササイズを繰り返して慣れていきましょう。
ご自身のペースを守る
ピラティスはインナーマッスルをじっくり鍛えるエクササイズであり、短期間で劇的な効果を期待するものではありません。前述のとおり、効果を実感するまでには10回以上、数ヵ月単位での継続が必要とされています。
きちんとした指導者のもとであれば、毎日ピラティスを行っても身体に悪影響はありません。ご自身のペースを守り、できる範囲で継続しましょう。
正しいフォームを身につける
ピラティスは、動きをひとつずつ丁寧におこなうエクササイズであり、正しいフォームを維持して続けることが重要です。誤った姿勢で繰り返すと、本来鍛えたい筋肉ではない部位に余計な負担がかかります。
ピラティスを安全で効果的に取り組むために、国際ライセンスを持った信頼できるインストラクターの指導を受けることをおすすめします。
まとめ
ピラティスとはリハビリを起源としたエクササイズで、続けると以下の効果を得られる可能性があります。
- 体幹を鍛えられる
- 姿勢を改善できる
- 柔軟性の向上と筋トレを同時におこなえる
- 深い呼吸ができるようになる
- 肩こりや腰痛に良い影響を与える可能性がある
- ダイエットやボディメイクが期待できる
姿勢が悪い方や体幹を鍛えたい方などにおすすめなので、気になる方はピラティスを始めましょう。
ただし、正しいフォームで呼吸を止めず、ご自身にあったペースで続けないと、なかなか思った効果を得られないかもしれません。自己流で始めるのは難しい場合もあるため、知識や資格を持ったトレーナーからピラティスの指導を受けることを検討しましょう。
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パーソナルジムASPIは、科学的根拠にもとづいたトレーニングやライフスタイルに寄り添った食事アドバイスを提供するパーソナルジムです。
一般的なトレーニングはもちろん、ピラティスのメソッドも提供しています。筋力トレーニングや食事改善に加えて、ピラティスも一緒に取り組むことが可能です。
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この記事の監修者 Supervisor
株式会社Breathing 主宰 坂井 陽子

年間2300本のクラスを担当し、15年以上の指導歴を持つベテランインストラクター。さまざまな方のニーズに応えるため、ピラティスの国際資格を多数所持し、また、痛みの改善に応えられるよう著名な理学療法士の先生に師事し、学び続けている。PMA(Pilates Method Alliance)にも認定されているインストラクターの一人。
得意分野は、姿勢改善や痛みの改善。アスリート、障がいを持つ方など 幅広い方へ対応が可能。シルクドソレイユでの指導経験や、障がい者スポーツセンターでの指導経験等、多方面での活躍がある。多くの方々から「レッスン後に、諦めていた痛みが改善した!」と高い評価を頂いている。
保有資格
・STOTT PILATES R Full certificated instructor
・CORE INTELLIGENCE by Marie Jose
・Pilates Method Alliance certified instructor
・SMART SPINE by Marie-Jose
・Franklin Method Deploma Level 3
・Pat Guyton Pilates Conservatory certificated
・Pilstes Leadership Concept, Modul 3 by Marie Jose
・財団法人日本障害者スポーツ協会 公認上級スポーツ指導員
https://s-breathing.com/