ピラティスは、身心全体と呼吸のすべてを一体化させ、日常・運動の動作を安全かつ質の高い動作に改善する要素があります。
ピラティスは「運動したいけど続かない」「姿勢が悪くて悩んでいる」などの悩みを抱える方におすすめのエクササイズです。体幹を鍛えながら姿勢を改善し、しなやかな身体作りを目指せるピラティスは、近年多くの方が取り入れています。
この記事では、ピラティスの基本的な考え方や期待できる効果、初心者でも安心して始められる方法を解説します。これからピラティスを始めようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
ピラティスとは
ピラティスは、体幹を中心としたインナーマッスル(深層筋)を強化し、身体全体のバランスを整えるエクササイズです。呼吸法と動作を組み合わせた独自のメソッドが特徴で、身体の深層部にある筋肉を効果的に鍛えられます。
誕生当初は「コントロロジー」と呼ばれており、身体と心を意識的にコントロールすることを重視していました。
ピラティス氏は、コントロロジーの定義を「身体と心、精神の完全な調和を目指すこと」としています。ひとりひとりが身体の健康を手にして良い人生を過ごせるようになることで、個々人に留まらず世界全体に良い変化が及ぶことを願って生み出されたメソッドです。
エクササイズをする際は、可能な限り以下の原則を意識しながら取り組みます。
- 身体全体の動きの統合(Whole Body Movement)
- 呼吸(Breathing)
- バランスのとれた筋肉の発達(Balanced Muscle Development)
- 集中(Concentration)
- コントロール(Control)
- センタリング(Centering)
- 正確性(Precision)
- リズム(Rhythm)
身体全体の動きの統合には、心と精神も含まれます。センタリングとは、身体の中心(軸・コア)を意識することです。
ピラティスの歴史
ピラティスは、20世紀初頭にドイツ人のジョセフ・H・ピラティス(Joseph Hubertus Pilates)が考案しました。
ジョセフ・ピラティスは、幼少期にリウマチ熱や喘息などの病気に苦しんだ経験があります。それらを克服するため、ヨガ、体操、ボクシング、武術などの運動法を取り入れて独自のエクササイズを開発したことが誕生の経緯です。
第一次世界大戦中には負傷兵のリハビリとしてピラティスを応用し、寝たきりでもおこなえるトレーニングを考案しました。
ピラティスのうちマシンピラティスでは、「リフォーマー」と呼ばれる身体の状態に応じてトレーニングできる器具を用いますが、リフォーマーの原型が誕生したのもこの時期です。
1923年、ピラティスはアメリカに移住し、ニューヨークにスタジオを開設しました。ダンサーや舞台芸術家の間でピラティスの人気が広まり、その後世界中に普及しました。そのほか、体操選手や医師、音楽家、ビジネスマン、学生など、幅広い顧客に対応していたとされています。
ピラティスとヨガの違い
ピラティスとヨガは、どちらも心身の健康を促進するエクササイズです。しかし、起源や目的、実践方法にいくつかの違いがあります。
ヨガは紀元前4000~2000年頃のインダス文明で生まれた古代インドの修行法で、パワーヨガやアシュタンガヨガなどさまざまな流派があります。心と身体、魂の調和を図り、内面的な平穏や安定した精神状態を得ることがおもな目的です。
ヨガでは、柔軟性向上、体力増強、ストレス軽減、集中力向上なども効果としてあげられます。腹式呼吸(深い呼吸)を重視し、瞑想やポーズ(アーサナ)と組み合わせる点が特徴です。ピラティスがマットや専用マシンを使用するのに対し、ヨガはマット上のみで実践します。
ピラティスは姿勢改善やリハビリ、スポーツパフォーマンス向上を目指す方に適しています。一方、ヨガは精神的な安定やリラックス効果を求める方におすすめです。
両者の違いをより詳しく知りたい方は以下の記事もご参照ください。
関連記事:ピラティスとヨガの違いは?目的や効果、呼吸法などに関する相違点を解説
ピラティスの種類
ピラティスには大きく分けて「マットピラティス」と「マシンピラティス」の2種類があります。それぞれ特徴や効果が異なるため、目的に応じて選ぶ、もしくは両方を組み合わせましょう。
マットピラティス
マットピラティスはマットの上でおこなうエクササイズで、自重を利用するトレーニングが基本です。場合によっては、ボールやゴムベルトなどの補助道具(プロップス)を使用する場合もあります。
自重で全身の筋肉を鍛え、体幹の強化や柔軟性の向上、姿勢改善に効果的です。自重であることから関節への負担が少なく、安全性にも優れています。
必要なのはマット一枚のみで特別な器具が不要なので、自宅やスタジオ、旅行先など場所を選ばず手軽におこなえます。
マシンピラティス
マシンピラティスは名称のとおり、さまざまなピラティスマシンを用いておこなうピラティスです。リフォーマーやキャディラックなどの専用マシンを使用することで、約600種類のエクササイズが可能です。
スプリングの抵抗を利用し、負荷を調整しながら安全にトレーニングでき、初心者でも正しいフォームを学びやすい特徴があります。
インナーマッスル強化のほか、部分的な筋肉強化にも適しており、特定の部位に集中したトレーニングが可能です。負荷調整により、初心者からアスリートまで幅広く対応できます。
ただし、マシンの設置スペースやコストが必要なため、自宅ではおこないづらいところが難点です。
ピラティスで得られる6つの効果
ピラティスで得られる効果は、以下の6つです。
- 姿勢改善・体幹強化
- 体型改善・シェイプアップ
- 腰痛・肩こり予防
- 骨盤の歪み改善
- ストレス解消・リラックス効果
- 食欲抑制
それぞれ詳しく解説します。
姿勢改善・体幹強化
体幹部のインナーマッスルを鍛えることで、背骨や骨盤の正しい位置を維持しやすくなります。その結果、自然と正しい姿勢が保たれ、猫背や反り腰などの姿勢不良の改善につながります。
また、左右・前後の筋肉バランスを整えれば、姿勢不良の原因となる身体の歪みを解消することも可能です。固まった筋肉をほぐすことで柔軟性が高まり、身体の可動域も広がります。
体型改善・シェイプアップ
体幹やインナーマッスルを鍛えると、身体全体が引き締まります。とくに腹横筋や骨盤周りの筋肉を鍛えれば、ウエストやヒップラインが美しく整います。
ピラティスならではの特徴として、特定の部位をターゲットにしたエクササイズが可能であり、お腹周りや太ももなど気になる部分を集中的に引き締められる点があげられます。
また、正しい姿勢を維持することで見た目のスタイルが良くなり、痩せて見える効果も期待できるでしょう。
肩こり予防
深い呼吸と筋肉のストレッチを組み合わせることで、血流が改善し、肩周りの筋肉がほぐれます。すると、凝り固まった筋肉が解放され、肩こりの軽減へとつながる可能性があります。
肩こりは、猫背や巻き肩などの姿勢不良が原因のひとつです。ピラティスでインナーマッスルを鍛えれば、正しい姿勢を維持しやすくなり、背骨の位置が安定することで、肩こりの原因である猫背などを未然に防ぎやすくなります。
骨盤の歪み改善
腹横筋や骨盤底筋群など、体幹や骨盤周りのインナーマッスルを鍛えると、骨盤の歪みが改善されます。骨盤が整うことで、冷え性やむくみ、生理痛、PMSなど女性特有の悩みへのアプローチが可能です。
また、出産後に歪んだ骨盤や弱った筋肉をピラティスで鍛えると、産後特有の骨盤痛や恥骨痛の軽減も期待できるとされています。
ストレス解消・リラックス効果
ピラティスでは胸式呼吸を取り入れており、この呼吸法が交感神経を活性化させ、前向きな気持ちをもたします。また、ピラティスでの呼吸を意識した動きは、心拍数や血圧の安定につながり、ストレスや不安感の軽減に役立つとされています。
動作に集中すると瞑想状態に入ることもポイントです。「今この瞬間」に意識を向けられるため、過去や未来への不安から解放されます。この集中状態がストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を抑制し、感情の安定にも貢献します。
更に、ピラティスには「幸せホルモン」と呼ばれるエンドルフィンやセロトニンなどの分泌を促進させる効果があり、精神の落ち着きや睡眠の質向上を期待できるでしょう。
食欲抑制
ピラティスをおこなうと背骨周辺の神経が刺激され、脳のセロトニン神経が活発になります。その結果、満腹感を与えるセロトニンの分泌が増え、暴飲暴食をおさえられるとされています。
また、ピラティスによってストレスが軽減されると、ストレスによる過食を防ぎ、健康的な食欲の維持につながります。
ピラティスの始め方
ピラティスができる場所は、以下のとおりです。
- 教室・スタジオ
- 自宅
- パーソナルジム
それぞれの違いを解説します。
ピラティスの教室・スタジオでレッスンを受ける
ピラティスの基本的な姿勢や動きを学びたい初心者の方などは、教室やスタジオでのレッスンが選択肢となります。インストラクターに直接指導してもらえるため、ピラティスで重要な正しいフォームを理解しやすい点がメリットです。
レッスンには、ほかの参加者と一緒におこなうグループレッスンと、インストラクターとマンツーマンでおこなうパーソナルレッスンの2種類があります。
グループレッスンは他の参加者と一緒におこなうため、モチベーションを維持しやすい点が特徴です。一方、パーソナルレッスンはグループレッスンよりも高価な傾向がありますが、ご自身の目標や体調に合わせたオーダーメイドプログラムが受けられます。
自宅で気軽に始める
自宅ピラティスは、YouTubeやDVD、書籍などで基本ポーズや呼吸法を学びながら、ご自身のペースで進められる点が魅力です。取り組む時間帯や開始タイミングを選ばず、おもにマットがあれば気軽に始められます。
ただし、自宅でのセルフトレーニングの場合、姿勢や呼吸の誤りに気づかない可能性があります。ピラティスでは身体の使い方と呼吸法が重要ですが、動画や書籍を見ただけでは伝わらないことも多いです。
自宅で受けられるオンラインレッスンもあるため、正しいフォームを習得するために検討すると良いでしょう。
パーソナルジムで専門的な指導を受ける
パーソナルジムの中には、トレーニングに加えて、ピラティスにも取り組めるジムがあります。パーソナルジムとは、トレーナーとマンツーマンでトレーニングをおこなうプライベートなトレーニング施設です。
ひとりひとりの目標や体力に合わせたプログラムを提供しており、効率的な結果が期待できる点がメリットです。パーソナルジムとピラティスの両方をひとつのトレーニング先でおこなえるため、利便性にも優れています。
パーソナルジムでは、現状をチェックしたうえで個人に適したオーダーメイドプログラムが受けられます。「ジムでトレーニングした方が良い?」「ピラティスの方が向いている?」など、悩む方でも取り組みやすいでしょう。
まとめ
ピラティスは、考案者ジョセフ・ピラティスの名を冠したトレーニング法です。マットやマシンを使用した種類があり、インナーマッスルを鍛えることで姿勢改善や体型維持などの効果が期待できます。
始め方は、教室やスタジオでのレッスン、自宅での練習、パーソナルジムでのマンツーマン指導から、ライフスタイルにあわせて選択可能です。ピラティスは正しいフォームと呼吸法がポイントなので、とくに初心者の方はトレーナーからの指導を受けることをおすすめします。
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全トレーナーが世界最大のフィットネスインストラクター教育団体AFAAのピラティスライセンス「AFAA PILATES」を保有しており、ピラティスからボディメイクまで対応可能です。
トレーニングやピラティスの指導に加えて、日々の食事指導も実施しており、これから先の人生で長く使える知識を身につけられます。
トレーニングとピラティスの両方に取り組みたい方や、どちらを始めようか悩んでいる方は、ぜひパーソナルジムASPIの体験プランを試してみてください。
この記事の監修者 Supervisor
ピラティストレーナー・Web監修者 村上 祝多

整体とピラティスを組み合わせて身体の不調改善からパフォーマン向上を目指せるピラティススタジオを運営。一般の身体に悩みのある方だけでなく、バレエやマラソンを趣味とした一般の方からプロ競輪選手など幅広いクライアントを対象として、リハビリ〜競技パフォーマンス向上をサポート。医療従事者としての14年の経験と知識、エビデンスをベースとして指導を行っている。保有資格は、理学療法士、NSCA -CSCS、心臓リハビリテーション指導士、呼吸療法認定士など医療系資格やフィットネス資格を他にも保持している。
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